外人のお客さん
私がディーラーをしていたときの話ですが、外人の客さんが時々来ます。
テンションの高いアメリカ人なら、少し見せたら大喜びします。なので、こっちも元気をもらうような感じなのでいいのですが、たまに難しい外人が来ます。
特に中国などの、アジア系の人が来ると難しい。
すっっっごく疑います。何につけても疑います。
おそらく、頭の中には“インチキ”と“超能力”という箱しかなくて、“手品”という箱がないのだと思います。
最初から疑いの目のままなので、何を演じてもウケる事もなく、沈んだまま終ることが多いです。
ウケるネタをやっても“そんなのインチキだ”的な雰囲気になるし、不思議なものをすると、まるで超能力を見たような感じになります。
個人的に面白かったのが、中国の方がチャイナリングを不思議そうに見ていた事と、「これはどんな手品ですか?」と、持ってきたのが、しまい忘れてた毛ばたきでした。
確かにマジックショップであれを見ると、手品道具に見えるかも知れない…。
「それは、しまい忘れていた毛ばたきで、掃除の道具ですよ」と教えると、大笑いしてました。
ある日、ビックリするくらいテンションの低いアメリカ人が来ました。
何か見せて欲しいとの事なので、そのとき持ってたレギュラーデックで、スロップシャッフルで表裏を混ぜて、元に戻す手品を演じました。
すると、すっごく真剣な顔で不思議がっていました。
その後、「私が混ぜてもいいか?」と聞いてきたので、外人さんに表裏を混ぜてもらいました。
混ぜてもらったデックを返してもらい、おまじないをしてスプレッド。
するとすべてのカードが同じ向きに揃っていたので、かなりビックリした様子でした。
その外人さんが「今までいろんなマジックを見てきたが、これが一番不思議だった。」と言っていました。
確かにそうだと思います。
自分の手で、表裏を混ぜたのに、一瞬で元に戻っているのですから。
私も驚きました。
外人さんが、見よう見まねで混ぜたのが、うまくスロップシャッフルになっていたので、助かりました。
あの外人さんにとっては、本当の奇跡だと思います。
TRICK STUDIO